醸造アルコールは、酒造アルコールと呼ばれることもあるものです。
正式には醸造アルコール、または醸造用アルコールと呼ばれています。
日本酒のアルコールの度数を調整する役割のものです。
ラベルを見ると原材料の欄に書かれていることを見つけることができるでしょう。
この醸造アルコールが添加されている日本酒について、「悪酔いする」「質の悪い酒」と否定的な意見が見られます。
実際のところはどうなのでしょうか。
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醸造アルコールが含まれる日本酒の種類
醸造アルコールについて紹介する前に、日本酒の特定名称酒の分類について紹介しましょう。
特定名称酒とは、普通酒と区別する呼び方で、原料や製造方法によって8種類に分類されています。
- 大吟醸酒
- 純米大吟醸酒
- 純米吟醸酒
- 吟醸酒
- 特別純米酒
- 純米酒
- 特別本醸造酒
- 本醸造酒
以上の8種です。
このうち大吟醸酒、吟醸酒、特別本醸造酒、本醸造酒には、原料として醸造アルコールが用いられています。
日本酒のアルコール度数を調整するために使われます。
他にも菌の繁殖を防ぎ発酵を止める役割があり、材料は糖蜜や穀類など食物に由来する食品添加物です。
日本酒以外にも味噌や醤油にも使われていますよ。
醸造アルコールは質が悪いという噂
醸造アルコールが悪酔いの原因として嫌われる理由には、酒の増量を目的とした『質の悪さ』があげられます。
酒の増量を目的に3倍に薄めた「三増酒」は戦後の米不足以降は主流の酒でした。
質がよくない三増酒を日本酒として飲み、頭痛や悪酔いのイメージが強く根付いてしまったのでしょう。
現在は酒税法により添加の量が定められているため、三増酒は製造されません。
二倍程度に薄められたものはありますが、こちらは普通酒の扱いになっています。
そのため指定名称酒に醸造アルコールが使われていても質が悪いということはありません。
多くの蔵元は醸造アルコールが悪酔いの原因になることを否定しています。
日本酒を飲むと頭痛がするというのは、単純に体調や飲むスピード、体質によるものだと考えられています。
醸造アルコールを用いるメリットは?
醸造アルコールが食品添加物だということをふまえると・・・
原料は米と米麹だけという純米酒の方が美味しく思えますし、日本酒の本来の形のような気がするかもしれませんね。
しかし、醸造アルコールには以下のようなメリットがあります。
- 香りをひきだす
- すっきりとした味わいになる
- 菌の繁殖を防ぎ防腐効果がある
香りは、アルコールによく溶けるため、醸造アルコールにより一層引き立つのです。
また、純米酒の味を重たく感じる人には、醸造アルコールが加えられた酒の方がすっきりとおいしく飲めるでしょう。
醸造アルコール自体は無味無臭ですが、日本酒のもつ味や風味を引き立てる重要な役割をもっています。
醸造アルコールによる害はない?
醸造アルコールは悪酔いとは関係ない!!
・・・そうは言っても、食品添加物や遺伝子組み換えによる健康被害を心配する声もあります。
醸造アルコールは食品に由来するもので人体に害があるものではありません。
しかしその原料が遺伝子組み換え作物であるかは残念ながらハッキリしていません。
最近ではコストの面から『粗留アルコール』を輸入し、国内で純度を高め醸造アルコールとして使用することが多くなっています。
粗留アルコールの原料までは不明なので、遺伝子組み換えのトウモロコシやじゃがいもである可能性もあるのです。
原料への不安がある人は純米酒を楽しむ方がいいでしょう。
まとめ
品質がよくない酒が出回っていた時代の「日本酒は悪酔いする」という認識は間違いです。
醸造アルコールの添加に否定的で、純米酒こそが日本酒だという意見もあります。
ですが、純米酒だから美味しいということでもありません。
醸造アルコールはより香りや味を引き立たせる大事な原料です。
その飲みやすさからペースや量を間違えて二日酔いになることのないよう注意を払いながら、日本酒を楽しんでくださいね。
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