中華料理店でよく見かける中国のお酒、紹興酒。
ですが・・・
たまに同じ中国のお酒で「老酒(らおちゅう)」というものもあります。
一度店員さんに「老酒ってどんなお酒?」と聞いたことがあるのですが、「紹興酒のことです」という返事でした。
日本では紹興酒と老酒は同じものとして扱われがちですが、厳密に言うと、紹興酒と老酒は全く同じというわけではありません。
これらの違いは何なのでしょうか。
見ていきましょう。
紹興酒と老酒の違い
紹興酒とは
紹興酒とは『中国の浙江省紹興市で作られた黄酒のこと』です。
参考
※黄酒とは
原料は糯米、麦麹、水から作られていて、中国版の日本酒といったところです。
ただ日本酒とは違って色が濃く、独特の豊潤な香りがします。
紹興酒は世界三大美酒の一つとしても有名です。
老酒とは
一方、老酒とはその名の通り「老いた酒」、すなわち『長期熟成された酒のこと』です。
ワインで言うなら「ヴィンテージ品」ということですね。
長期熟成と一言に言っても、どの程度の熟成で老酒と呼べるのかという疑問が出てきます。
一般的には3年以上寝かせた黄酒のことを老酒と呼ぶようです。
そして、紹興酒も3年以上熟成させるのが基本です。
つまり紹興酒とは老酒の一種ということですね^^
様々な老酒
紹興酒は老酒の一種と説明しましたが、紹興酒は別名『紹興老酒』といいます。
この『紹興とは地名を指した言葉』で、浙江省紹興市以外で作ったお酒は、例え作り方が同じでも『紹興酒』と名乗ることはできません。
シャンパーニュ地方で作ったスパークリングワインだけがシャンパンと名乗れるように、紹興酒と名乗れるのは浙江省紹興市で作った老酒だけです。
そのため紹興酒と同じ作り方をしていても別の地域で作った老酒は、「上海老酒」や「福建老酒」という具合に【(地名)+老酒】の名前で呼ばれます。
また老酒の本来の意味としては『長期熟成したお酒』ですが、それ以外のお酒についても老酒と呼ぶことがあります。
- 色の濃い黄酒
- 中国以外で作った黄酒
こう考えると単純に『老酒』と書かれたお酒の場合は、必ずしも熟成期間が長いというわけではないのかもしれませんね。
老酒と陳年
老酒との違いが分かりにくいものに【陳年】があります。
紹興老酒の中でも、熟成期間が長いものに『陳年』の名称が付けられ、『陳○○年』と言う形で、熟成期間を表現します。
老酒という名称が、長期熟成したお酒以外の『色の濃い黄酒』や『中国以外で作った黄酒』に対しても使われる現在においては、『陳年』もしくは『陳○○年』と表記された商品の方が、長期熟成されていることが明確です。
熟成年数による味やアルコール度数の違い
ヴィンテージワインだと価値が高くなるのと同様に、熟成期間の長い紹興酒の方が、価値が高い傾向にあります。
熟成期間が長くなるにつれて、次のような変化があると言われています。
- 味:甘くまろやかな味わいになる
- 香り:より豊潤な香りになる
- アルコール度数:基本的には変わらないが、僅かに度数は下がる傾向
熟成期間による味の違いを舌で確かめてみるのも面白いかもしれませんね^^
まとめ
紹興酒の別名は『紹興老酒で、老酒の一種』です。
老酒の中には紹興酒もありますが、それ以外のものもあるので、両者を同じものとして扱ってしまうのは間違いです。
また老酒とは『長期熟成した黄酒』というのが本来の意味ですが、『色の濃い黄酒』『中国以外で作った黄酒』も老酒と呼ばれることがあります。
老酒という名称だからといって、必ずしも長期熟成されたものとは限らないということですね。
確実に長期熟成したものを飲むのであれば、『陳○○年』という表記が、熟成期間を表しているのでその表記を参考にするといいと思います。
熟成期間が延びるほど、甘くまろやかな味わいになるので、特に女性にはおすすめですね。