「泡盛と焼酎の違いって何?」と聞かれて、サラリと答えられる人は少ないのではないでしょうか。
泡盛は沖縄の地酒というのは知られていますが・・・
居酒屋などでは焼酎の括りにされている事も多く、ラベルやボトルを見ても違いがよくわかりませんよね。
「泡盛は焼酎のルーツである」ともされていますし、どうも同じように感じてしまいます。
しかし結論から言うと、泡盛と焼酎は全然違います!!
製造工程も大きく違えば、味わいや度数も違う泡盛と焼酎。
知っておくと、お酒選びが楽しくなりますよ♪
味わいの違いは原料と仕込みにあり!
米と麹を使用して発酵後、蒸留により液化して製造する泡盛と焼酎。
単純に工程だけ見ると同じ様に思えるのに、なぜ味わいに違いが出るのでしょうか。
その鍵を握る、以下の3つの違いについて簡単に解説します!
- 原料
- 麹
- 仕込み
具体的に見ていきます。
1.原料の違い
泡盛の原料はインディカ米(タイ米)が多いです。
炊くとバニラの様な甘めの香りがして、独特なコクや風味があるのが特徴。
対して焼酎の原料は主にジャポニカ米(日本米)または麦を使用します。
ジャポニカ米は、すっきりと爽やかな味わいの酒に向いていると言われています。
※以前は泡盛にはインディカ米が用いられてきましたが、最近は地産地消の動きに伴いジャポニカ米を使った泡盛も出てきています。
2.麹の違い
酒に使用されている麹の種類は3種類。
- 黒麹・・・コクや深み、キレのある味わい
- 白麹・・・すっきりまろやかで、優しい味わい
- 黄麹・・・華やかな香味で、軽快な味わい
それぞれの麹により酒の味わいに大きな影響を与えます。
泡盛には、どっしりと濃厚でコクと深みのある味わいの黒麹を使います。
黒麹は雑菌の繁殖を抑えるクエン酸を多く作るため、高温多湿の沖縄での酒造りに最適なのです。
対して焼酎は主に白麹を使用しますが、銘柄により黒麹や黄麹を使用するものもあります。
泡盛の定義の一つに「黒麹を使用する事」という条件があります。
対して焼酎には麹の決まりがないのです。
3.仕込みの違い
泡盛は「全麹仕込み」という、原料の米を全て米麹にして水と酵母を加えて発酵させる手法。
仕込み時間が短いのでタイ米特有の香りや風味を壊さず引き出す上、暑さによる腐敗を防ぐ効果があります。
それに対し本格焼酎は、米麹に水と酵母を混ぜて醪(もろみ)を作る「一次仕込み」を行い、それに主原料と水を加え発酵させる「二次仕込み」が一般的です。
この時に混ぜる主原料で焼酎の種類が決まります。
(米を使うと米焼酎、芋を使うと芋焼酎・・・など)
焼酎でも「全麹仕込み」と表記されているものがありますが、これは麹で一次仕込み→更に麹で二次仕込みをするというとっても贅沢な手法なのです。
度数の決め手は蒸留方法にあり!
焼酎のアルコール度数は20〜25度前後のものが多いのに対し、泡盛は30度を超えるものが多くなっています。
また、泡盛の特徴の一つである古酒は40度以上にもなるものも。
この度数の違いに大きく関わっているのが「蒸留方法」です。
※蒸留とは
「蒸留」とはアルコール度数を高めるための工程で、熱で気化したアルコールを冷やして液化する作業です。
中学の理科の実験で習った記憶がある方も多いのではないでしょうか。
高い温度で熱することで、純度の高い成分が抽出されてアルコール度数の高い酒になるのです。
>>>醸造酒と蒸留酒の違い【度数以上】に作り方が!?代表的な種類はコレ!
泡盛に多い「常圧蒸留」
「常圧蒸留」とは、約500年前から日本に伝わったとされる伝統的な蒸留法。
通常の気圧の元で、蒸留したい液体を90℃〜100℃に熱して蒸気を集め、冷やして液化します。
それにより原料の風味が凝縮され、甘みや香りを壊すことなく楽しめます。
アルコール度数が高く、貯蔵時の熟成効果も高いために古酒や長期貯蔵酒造りに適しています。
まさに、古酒造りが盛んな泡盛にピッタリですね。
焼酎に用いられる「減圧蒸留」
一方、「減圧蒸留」とは1970年代前半に登場した新しい蒸留法。
「気圧が低い場所では100℃より低い温度で沸騰する」という原理を利用し、蒸留器内の気圧を下げて蒸留します。
40℃〜50℃の低温で沸騰させ、口当たり軽やかでソフトな味わいに仕上がります。
焼酎は常圧蒸留で製造されるものも多いので、同じ原料で味わいの違いを楽しむのも良いですよ。
まとめ
泡盛と焼酎の違いのポイントをまとめると、以下のようになります。
- 泡盛は「黒麹を使用する」「全麹仕込み」が定義。コク深い味わいで、古酒を楽しむことができる。
- 焼酎は原料や製造工程は酒造により様々、「二次仕込み」により原料の素材の風味を楽しむことができる。
同じ原料でも幅広い楽しみ方を与えてくれるのが、泡盛と焼酎の大きな魅力。
ぜひ、色々な銘柄にチャレンジしてみてくださいね。