ウイスキーにハマリ出したなら、手を出したいのがシングルモルト。
その中でも、「シングルカスク/シングルバレル」は飲んでみたいもの。
ちなみに、カスクやバレルといった呼び名の違いは、言語や文化の違いです。
アメリカンウイスキーではシングルバレルの呼び名ですが、スコッチではシングルカスクと呼ばれています。
「シングルモルトと何が違うの?」
と思った人もいるでしょう。
シングルモルトより個性的かつ、レアなもの、それがシングルカスクです。
なにせ、世界にたったひとつの樽から生まれるモルトウイスキーなのですから。
- ウイスキーを極めたい人
- ウイスキー好きな人へのプレゼントを考えている人
- とんでもないプレミア価格の世界を覗きたい人
そんな人は是非とも立ち寄って下さいね。
まずはシングルカスクがどんなものなのかご紹介しましょう!
というわけで
シングルカスクとは?有名銘柄から高価格なレアものまで6種紹介
をお送りします。
シングルカスクとは?
カスクもバレルも、「樽」を示した言葉です。
シングルは「ひとつの」といった意味です。
単一の樽から出したウイスキーを、スコッチなら「シングルカスク」、アメリカンウイスキーなら「シングルバレル」と呼んでいます。
何故、ひとつの樽というところが重要なのでしょう?
もちろん、原料や蒸留器の形、蒸留方法なども重要です。
ただ蒸留後も大切で、モルトウイスキーは寝かせなければ完成しません。
寝床である樽がどんな樽なのか、どんな場所にあるのかといったことが、ウイスキーの味わいになっていきます。
樽の香りは、長い時間をかけてウイスキーに移ります。
原木の匂いもそうですし、シェリー酒やバーボンなどのお酒を樽で寝かせ、特有の香りを樽へ染みこませてから使うこともあります。
蒸留所の気候や風土も関係します。
例えば蒸留所が海辺にあるなら、樽が潮風を吸い込み、それをウイスキーに移すからです。
樽単位でウイスキーの個性が変わるのが面白い部分ですが、樽から出したものをそのまま売っていては、味にバラツキが出ます。
そのため、シングルモルトはひとつの蒸留所の中にある、樽同士を掛け合わせて作られるのがほとんど。
ブレンダーが風味や品質を整えるため、調合するレシピを完成させます。
販売量にも直結するので、その会社の味や方針というものが反映されています。
シングルカスクやシングルバレルは、いわば「樽出し」。
ひとつの樽に眠っているウイスキーに対し、今が美味いと判断されたとき、どの樽とも混ぜることなくビン詰めされるものです。
そのため、加水によるアルコール度数を調整もしない、原酒そのままの状態のものも多いです。加水しないものはカスクストレングスと呼ばれます。
仕込んだ樽の容量にもよりますが、いずれも数量限定。
当たり前のことですが、その樽に寝かせられたウイスキーは、唯一無二の存在です。
日頃、見聞きしている一般的なウイスキーでも、シングルカスクのものは取り分け値段が高く、レアなものばかりです。
あのフォアローゼスのシングルバレルも
フォアローゼスは、ウイスキーの中のバーボンというくくりです。
詳しくは、スコッチとバーボンの違いとは|徹底比較を参照して下さい。
バーボン特有の甘味や柔らかさ。
アルコール度数が50度もあるとは思えないほどの、口当たりの良さがあります。
いつもよりもリラックスして、ゆっくり飲みたいときにおすすめです。
値段も手が届く範囲なので、他のバーボンと飲み比べをしたい人にもいいですよ!
- フォアローゼス シングルバレル
- アルコール度数:50度
- 内容量:700ml
- 通販価格帯:5千円前後
スコッチのボトラーズブランド3種類
スコッチウイスキーはオフィシャルのもの以外に、ボトラーズブランドというものがあります。
オフィシャルは、蒸留、熟成、ボトリングまでを一貫して行っている会社。
ボトラーズは、蒸留所から樽ごと買い取り、独自に熟成させて販売する会社です。
そんなボトラーズブランドの、シングルカスクを3種類ご紹介します。
映画と一緒に味わう『ディーンストン8年Y'sカスク』
2012年に制作された『天使の分け前』という映画があります。
ウイスキーを題材にしたヒューマンコメディで、ウイスキー好きなら「お!?」と思うような銘柄が出てきます。
ちなみに、天使の分け前(天使の取り分)とは、樽などで熟成しているお酒が、徐々に揮発して減少した分のこと。
この映画に登場する蒸留所のひとつがディーンストン。
日本ではあまり知名度がありませんが、現地では人気の蒸留所です。
スコッチ好きでも、なかなか本場の蒸留所まで気軽にいくのは難しいですよね。
ロケで実際に使われた蒸留所のウイスキーを、映画とともに楽しみましょう♪
ディーンストン蒸留所のものは、ほとんどがブレンデッドウイスキー用として蒸留されています。
それをY'sカスク社が、ディーンストンのカスクシングルとして販売。
しかもカスクストレングスで、アルコール度数はなんと約66度。
ノンチルタード(無濾過)での仕立てです。
柑橘系のフレッシュな香りと酸味が印象的。
加水することで、甘味や樽の風味も広がります。
自分好みに割り水していくのも良いですね♪
ハイランドの雄大な自然が生み出す味わいを是非。
世界限定250本です。
- ディーンストン8年 Y'sカスク
- アルコール度数:66.7度
- 容量:770ml
- 通販価格帯:8千円~1万円
※現在は入手困難そうです。
普通のディーンストンはこちら。
日本限定『スペイモルト・フロム・マッカラン1997年』
ハイランドの中でも、とりわけ蒸留所がひしめくスペイサイド。
産地名として独立した呼び名で親しまれるほど有名です。
スペイサイドには世界的にもメジャーなスコッチが集まっていますが、日本でも知名度が高いのがマッカラン。
シングルモルトのロースルロイスと称されるトップブランドです。
「スペイモルト・フロム・マッカラン1997年」は、ボトラーズとして有名なゴードン&マクファイル(GM)社の監修によるもの。
この会社は、ボトラーズブランドの先駆けであり、名だたるスコッチの原酒を貯蔵していることでも知られています。
この銘柄は日本向けに数量限定販売されたもの。
加水してあるシングルカスクです。
- スペイモルト・フロム・マッカラン1997年
- アルコール度数:46度
- 内容量:700ml
- 通販価格帯:3~5万円
※現在は入手困難そうです。
違う年式のものは入手可能ですが、どれもプレミア価格がついています。
ウイスキートレイル ナイト・シリーズ
こちらも有名なボトラー、エリクサー・ディスティラーズ社が日本向けにリリースしたもの。
6種類の銘柄がラインナップされており、どれもシングルカスクのカスクストレングスです。
各ボトルの銘柄をリリース順にざっと挙げていきましょう。
( )内は貯蔵樽の種類です。
- 「クライヌリッシュ2010」熟成年数8年(バーボンバレル)
- 「ベンネヴィス1996」熟成年数21年(ホグスヘッド)
- 「グレンロセス1990」熟成年数26年(バーボンバレル)
- 「グレンマレイ2007」熟成年数10年(バーボンバレル)
- 「クライヌリッシュ1995」熟年年数22年(ホグスヘッド)
- 「ブナハーブン1989」熟年年数28年(ホグスヘッド)
ナイトはKnight(騎士)のことで、映画のワンシーンのような騎士のイラストがラベルに使われています。
6種類ならぬ「6部完結」で、まるで物語を読むような気持ちになれますよ!
一揃えしたいところですが、どれも販売本数が非常に少なく、200本台がほとんど。
大手通販サイトでは「クライヌリッシュ1995」なら、取扱いが見られます。
「ブナハーブン1989」、「グレンロセス1990」もわずかにあるようです。
ただ、リリース時よりも値段は上昇しつつあります。
「ウイスキートレイル ナイト」を略した「TK」が商品名に当てられている場合もあります。
- ウイスキートレイル ナイト クライヌリッシュ1995
- アルコール度数:57.5度
- 内容量:700ml
- 通販価格帯:2万7千円前後
- ウイスキートレイル ナイト ブナハーブン1989
- アルコール度数:48.1度
- 内容量:700ml
- 通販価格帯:2万8千円前後
驚きのプレミア価格!国内ウイスキーのシングルカスク
ジャパニーズウイスキーのシングルモルトは、世界規模で大人気。
特に終売したものは、目が飛び出るほどのプレミア価格で取引されています。
ジャパニーズウイスキーの人気が出始めたのは、1990年代後半頃。
世界的なシングルモルトの流行もあり、国内のウイスキー愛好家の需要が高まりました。
2000年に突入してから、ウイスキーマガジンが開催するブラインド・テイスティングで、余市や山崎のシングルモルトが高評価を受けたこともきっかけのひとつです。
2010年あたりから、海外でジャパニーズウイスキーがブームに。
加えて日本国内ではハイボールの人気が爆発し、大手の会社ですら原酒不足に陥ったことでプレミア価格もつくようになりました。
- 「そういえば昔、国産ウイスキーを貰ったまま棚の奥に眠っているなぁ」
- 「父親がウイスキーを貰っていたけど、手をつけないまましまいっぱなし」
そんな心当たりがある人は、整理がてらに探してみるといいかもしれませんよ!
※まさかの値段が!!
ニッカウイスキー『余市10年シングルカスク』
ニッカウイスキーは、余市と宮城峡に蒸留所を構えています。
それぞれのシングルモルト、加えてその2つの蒸留所のモルトウイスキーをヴァティングさせている「竹鶴」も人気を集めています。
元々愛好家が多い会社で、朝ドラ『マッサン』のモデルはニッカウイスキーの創業者です。
ドラマの人気も相まって、2015年に原酒不足が深刻化しました。
2015年の8月に、当時の余市と宮城峡を一時出荷停止し、その後商品の構成を刷新しています。
余市の現在(2018年)のレギュラーラインナップは、シングルモルトのノンエイジのみです。
大手通販サイトでは、少数ですが「余市10年シングルカスク」(750ml)を取り扱っているショップもあります。
2015年11月にビン詰めされたものです。
- 余市10年シングルカスク(750ml)
- アルコール度数:57度
- 内容量:750ml
- 通販価格帯:10万円台
※同じ貯蔵期間(10年)の500mlの取扱店もあります。500mlのものは価格帯やアルコール度数が違います。
他にも余市のシングルカスクはあり、貯蔵期間や生産数などで価格帯がどんどん高まります。
一例として…。
- 「余市1991 シングルカスク ヘビーリピーデット」で35万円台
- 「余市1991 シングルカスク」(EU限定/23年熟成)で40万円弱
といった感じです。
サントリー『山崎 シングルカスク』
サントリーの蒸留所は、山崎と白州。
看板ブランドはそれぞれの蒸留所のシングルモルトと、ブレンデッドの「響」です。
サントリーも原酒不足により、2018年6月に「白州12年」「響17年」が出荷停止になった経緯があります。
このニュースは新聞、テレビ、ネットで大きく取り上げられ、オークションサイトでは急激な高価取引が開始。
現在も高騰中です。
白州のシングルカスクは、大手通販サイトではほぼ出回っていません。
山崎のシングルカスクは楽天市場で若干見られましたが……。
こちらも圧倒的な値段の高さです。
状態の良し悪しも大きく関係するところですが、例えば「山崎シングルカスク1999 Bar Show」が約25万円。
「山崎シングルカスク1998」(54度/700ml)が60万円台など。
ウイスキーは熟成させてつくるお酒です。
すぐにどうこうできることではありません。
業界全体が原酒不足に陥っていて、対策を取っても解消されるのは、10年以上先になりそうだとも……。
ジャパニーズウイスキーが好きな人なら、業界全体の動向をチェックしていきましょう。
まとめ
シングルカスクは、絶対的な数量としての希少価値があるウイスキー。
でも、それだけではありません。
蒸留所の中にあるたくさんの樽の中から、たったひとつの樽と出会う。
ウイスキーとの贅沢な一期一会を味わえるのが、シングルカスクです。