ごはんのおともや料理の材料として優秀な明太子。
そんな明太子の原料は「スケトウダラの卵巣」です。
- 明太子の原料ってたらこと一緒?
- 魚の産地によって違いはあるの?
- 魚を獲ってから明太子になるまでの製法は?
今回はそんな明太子の原料について、色んな切り口から詳しく解説します!
明太子の原料はスケトウダラの卵巣
明太子の原料は「スケトウダラの卵巣」です。
タラと言えば一般的には「マダラ」を指しますが、明太子にマダラの卵は使いません。
理由は3つ。
ポイント
- 卵が数倍大きく、味がしみこむのに時間がかかる
- 鮮度が落ちやすい
- 色が黒っぽく見た目が良くない
下記写真を見ても、スケトウダラとマダラの大きさがよくわかると思います。
引用:コトバンク
たらこの原料も明太子と同じ
たらこの原料は明太子と同じスケトウダラの卵巣です。
そもそもたらこ=明太子ですから、当然といえば当然ですね。
辛子明太子・明太子・たらこの呼び名の違いは、下記記事に詳しく書いてあります。
スケトウダラの産地は北太平洋
スケトウダラはベーリング海やアラスカなどの北太平洋に生息しています。
引用:めんたいこ物語~漁獲編~
産地の違いにより大きさや色などに差が出てきますが、きちんと規格別に選別して出荷されます。
漁獲した年にもよりますが、日本海に比べアラスカの海で獲れたスケトウダラの方が大きいそう。
ですが産地によって卵の品質に差がある、といったことはありません。
明太子の原産地表示
実は必ずしも獲った場所で原産地が決まるわけではありません。
なんと…船の国籍で原産地の表示が決まります。
注意ポイント
- ロシア国籍の船で獲れた→ロシア産
- 中国国籍の船で獲れた→中国産
同じ場所で獲っても、表示が変わってしまうんですね。
さらに、色んな国で獲れたスケトウダラの卵から明太子を作っている場合もあります。
複数国の原材料2以上の原産地のものを混合して製造する場合であって、原材料に占める重量割合が特定できない場合は、「すけとうだらの卵巣(ロシア又はアメリカ)」等と表示することができる。
引用:辛子めんたいこ食品の表示に関する公正競争規約
私たちが食べている明太子は、色んな国で獲れたスケトウダラの卵なんですね。
明太子の製法
明太子の製法には大きく分けて、近海子と冷凍子の2種類があります。
引用:めんたいこ物語~原料編~
近海子と冷凍子の違い
ポイント
- 近海子:卵を塩たらこにしてから冷凍し、解凍したあと調味液に漬けて明太子にする
- 冷凍子:卵のまま冷凍し、解凍したあと塩たらこにし、調味液に漬けて明太子にする
かつては近海子の方が評判が良く、主流でした。
冷凍技術がまだ発達していなかった時代は、冷凍子の品質が悪かった為です。
凍結処理が未熟な時代の冷凍の生たらこ原料【冷凍子】は、『緩慢凍結』で凍結され、
卵の粒が壊され、粒々感もなく、良い塩たらこ・辛子明太子が出来ませんでした。
この時代の【近海子】は品質も良いと評判でした。引用:めんたいこ物語~原料編~
通常のゆっくり冷やす冷凍では品質が悪くなってしまう為、鮮度が保たれる近海子の方が美味しかったんですね。
しかし1970年代以降は技術が発達し、船内で卵の急速冷凍ができるようになりました。
そのため鮮度の良い卵を長期間保存できるようになり、美味しい明太子が1年中食べられるようになりました。
明太子の製法:漁獲~船内加工まで
船内に加工設備がある漁船での処理方法を紹介します。
簡単な流れ
- 網で引き揚げられたスケトウダラがコンベアで加工場まで運ばれる
- 一定の方向に頭をそろえる
- ヘッドカッターで頭をカットする
- ローラーで腹部を圧迫し、卵と内臓を取り出す
- 卵をサイズ・グレードごとに選別し、急速冷凍する
動画もありますが、人によってはグロテスクと感じるかもしれませんので注意して下さい。
船内で水揚げ→加工→冷凍する事で、卵の鮮度を保つ事ができるんですね。
ちなみに魚の身はすり身や切り身、頭と内臓はフィッシュミール(動物の飼料など)に加工され、同じように凍結されます。
明太子の製法:卵から明太子になるまで
次に、冷凍された卵が明太子になるまでを紹介します。
簡単な流れ
- 冷凍された卵を、専用の解凍機で温度管理を行いゆっくり解凍する
- 解凍された卵を塩水に漬け、塩蔵たらこにする
- 塩蔵たらこを調味料に漬け込み、冷蔵庫で寝かせる
- 計量し、包装する
余談ですが、解凍した卵には明太子のようなプチプチ感はないそうです。
塩水に漬け込むことで、卵のタンパク質が変性し固くなることで、プチプチとした食感のたらこになります。
まとめ
明太子の原料・製法について解説しました。
原料はスケトウダラの卵巣です。
北太平洋の海で獲れたものを船内で加工して急速冷凍する事で、1年中美味しい明太子を楽しむ事ができるようになりました。
次に明太子を手に取った時は、原産地表示を見てみるのも面白いかもしれませんね!