世の中には「よく似た名前だけど何が違うの?」という商品がたくさんあります。
そんな商品の中でも・・・・
キリンラガービールとキリンクラシックラガーというものがあります。
2つの製品がよく似た名前になった経緯には、実はちょっとだけ深い歴史があるんです。
キリンラガーとクラシックラガーの違い
これはズバリ言うと、生ビールかどうかの違いです。
ポイント
- キリンラガー:生ビール
- クラシックラガー:生ビールではない
では生ビールの定義とは、どこにあるのでしょうか。
生ビールの定義とは?
ビール製造工程の中の発酵工程後に、熱処理を行なっていないものが生ビールです。
要は、焼いていない魚を生魚と言うのと同じ感覚ですね。
なぜ、この熱処理を行うのかというと、熱によって発酵に用いた酵母が死ぬため、酵母による品質の劣化を抑えることができるから。
その為、かつて日本では熱処理を行うことが一般的でした。
生きた酵母が入っていると、賞味期限は短くなってしまうので、熱で酵母を殺していました。
しかし、ろ過技術の向上で、生きた酵母をビールから取り除くことができるようになったのです。
このことから熱処理を行わなくても、品質の劣化を抑えることができるようになり、生ビールが一般に普及するようになりました。
生ビールという名称を定義するために、ふたつの意見による論争が起こりました。
- 「生きた酵母が含まれたビールを生ビールと呼ぶ」という意見
- 「非熱処理のものを生ビールと呼ぶ」という意見
ビール業界内で分かれて一悶着(生ビール論争)となったのです。
しかし公正取引委員会は「非熱処理のものを生ビールと呼ぶ」という判断を下し、今の生ビールの定義ができあがったのです。
ちなみに、ドラフトビールという表現もよく聞きますよね。
こちらは、生ビールと同じ意味として扱われています。
正確には『ドラフト(draft)』は樽から『汲み出した』という意味です。
樽の中のビールは『熱処理を行なっていない』=『生ビール』ということから、ドラフトビールという名称は、生ビールと同じ意味で使われています。
キリンラガービールとクラシックラガーの歴史
非常によく似た名前の2つのビール。
その名前が付くようになった経緯については、深い歴史があります。
はてな
- 1988年 キリンビールからキリンラガービールに名称変更。
(当時は熱処理ビール) - 1996年 名称はそのままに非熱処理の生ビールに変更
- 2001年 熱処理を行なったビールをキリンクラシックラガーという名称で再発売
キリンラガービールを1990年代頃から愛飲していた人からすると・・・
同じ製品名称なのに熱処理製法から非熱処理製法に途中で変わってしまったということです。
当然、キリンさんはそのことを強くアピールしていたので、黙ってこそっと変えたわけではありません。
しかし長年慣れ親しんだ味を惜しむ人も多く、一説によると、キリンラガーを生ビールに変えたことが原因でファンからの反感を買い売上が落ちたようです。
その後、ファンからの強い要望もあり、昔ながらの熱処理製法で作ったビールを「クラシックラガー」という名称で発売することととなったのです。
ラガーの味や値段の違いは?
似ている二つですが、味も値段も変わってきます。
順番に見ていきましょう。
生ビールと熱処理ビールの味の違い
ビールと言えば「生が新鮮で品質が良いいから、美味しい!」という印象を持っている人は多いと思います。
確かに酵母を含んだビールは雑味が多いと言う人も少なくありません。
しかし逆に、酵母を除くことで、酵母が持つ旨味も失われます。
キリンの商品で言うなら、ざっくりとした特徴ですが、以下のような順序になります。
味の違い
- すっきりとした飲み口:一番搾り>キリンラガー>クラシックラガー
- 味が濃い/味わい深い:クラシックラガー>キリンラガー>一番搾り
ちなみに「生ビールだから品質が良い!」と言う謳い文句は、ビールメーカーは絶対に使いません。
なぜなら、そういった表現は禁止されているからです。
何故禁止されているかというと「生ビールの方が品質がいい/美味しい」に対する、しっかりとした根拠はないからです。
結局は「飲み手の好みによる」ということですね。
キリンラガーとクラシックラガーの値段
それぞれの値段はAmazonでの販売価格を比較すると、次のようになります。
- キリンラガービール:¥180円前後
- キリンクラシックラガー:¥200円前後
若干、クラシックラガーの方が高いですね、基本的に原料は同じなので、製造コストが違うのでしょう。
また、最近では熱処理のビールよりも、生ビールの方が主流です。
限定発売などを除くと熱処理ビールは次の製品しかありません。
- キリン:キリンクラシックラガー
- サッポロ:サッポロラガービール
- アサヒ:アサヒスタウト
この記事を書くに当たり、改めて調べたのですが・・・
驚きなのが・・・
キリン一番搾りは生ビールですが、限定発売(?)の「キリン47都道府県の一番搾り」は熱処理ビールとなっていたのです!
ややこしいですよね(笑)
確かに味が違うし、47都道府県の方はなんか苦手な感じがしたんだよなぁ。
私の舌は正しかった!!!(笑)
でも知識を得た今後は熱処理ビールも試していきたいですね♪
まとめ
日本人は何でもかんでも生が好きですが、熱処理ビールには熱処理ビールなりの魅力があります。
暑い夏なんかは、すっきりとした飲み口の生ビールをグッと飲むのがいいですが、寒い冬は逆に味わい深い熱処理ビールをじっくりと飲むのもオススメですよ!