日本酒って楽しいですよね~。
暑い夏にはキンキンの冷酒でキリッ!と。
春秋の過ごしやすい時などは常温やぬる燗でも、日本酒そのものの味がハッキリわかって楽しいですねぇ。
冬場は熱燗やひれ酒をキュッ!と。
燗酒だと特に甘味を強く感じます。
甘口よりも辛口の方が燗酒には向いてますよね。
・・・しかし、そもそも日本酒の「甘口」「辛口」って、何が違うのかご存知ですか?
甘口と辛口の違い
一言で言ってしまうと、文字通り「甘い」と「辛い」の違いです。
個人の趣向にもよりますが甘口の方が飲みやすく、その口当たり軽やかでフルーティな上品さは、女性にも親しまれていますね。
一方、辛口はと言えば、お酒を楽しむことは元より、そのキリッとした爽やかな味わいは、食事との相性が素晴らしいです。
刺身や馬刺しなど、特に日本料理との相性は抜群と言えるでしょう。
日本酒の作り方
甘口、辛口の違いについて説明する前に、日本酒の製法について簡単に説明します。
日本酒はビールなどと同じく醸造酒という分類になります。
日本酒は『米、麹、水』を主な原料としたお酒で、銘柄によっては清酒かすなどの複原料を用います。
酒税法ではアルコール度数が22%以下であると定められています。
このアルコール度数を超えると日本酒ではなく、リキュール扱いとなります。
日本酒は、『米のデンプンをブドウ糖に分解する糖化』と、『糖をアルコールに分解するアルコール発酵』によって作られます。
ビールの場合は米ではなく大麦(麦芽)を使っているので、それがビールと日本酒の違いの一つです。
他にも違いはたくさんありますが、アルコールを製造する考え方としては、こうです。
原料のデンプン質→(分解)→糖→(分解)→アルコール→熟成
これは、日本酒もビールも共通しています。
しかし日本酒の場合、ビールなどの他の醸造酒と異なる工程が存在しています。
糖化とアルコール発酵を同時に行う「並行複発酵」という独自の技術があるのですね。
この技術によって、ビールよりも遥かに高いアルコール度数になるのです。
ここで出てきた、デンプンの糖化によって出来た『糖』。
そして、糖の分解によって出来た『アルコール』が、日本酒の甘辛度(甘口辛口の目安)を決める『大きなポイント』となっています。
甘辛度を決める指標
日本酒の甘辛度は、分解されなかった糖とアルコールの量によって決まります。
糖が多いほど甘口になりやすく、アルコールが多いほど辛口になりやすいと言えます。
人の舌はアルコールを「辛い」と認識します。
そもそも人の舌には、辛味を感じる神経はありません。
人は舌に感じた痛みのような刺激を、辛味として認識していると言われています。
そしてアルコールは刺激性のある物質です。
アルコールが多いと舌への刺激が強くなり、辛いと感じるようになるのです。
これは、テキーラやウォッカなど度数の高いお酒を想像してもらうと分かりやすいのではないでしょうか。
あまりに強過ぎるお酒を飲むと辛くて痛いでしょう?
これが日本酒の辛口のひとつの度合いなのです。
ちなみにアルコールと糖の量を表す「日本酒度」という指標が使われます。
日本酒のパッケージに記載されており、+の値が大きいほどアルコールの比率が大きくなっています。
※記載のないものもあります。
しかし実は日本酒の甘辛を決めるのはそれだけではありません。
日本酒度は大まかな指標に過ぎないのです。
甘辛を決める指標には「酸度」と呼ばれる酸っぱさもあるのです。
しかし酸度は、甘辛度にも影響を与えますが、どちらかというと濃淡度に影響を与えます。
淡麗や芳醇/濃醇といった謳い文句を聞いたことはありませんか?
この謳い文句の根拠になっているのが濃淡度と呼ばれるものです。
ちなみに淡麗ほど、すっきりでさっぱりな飲み口。
濃醇ほど味が濃く、重厚な飲み口です。
日本ビールなどは淡麗って言葉がピッタリで商標にもなっていたりしますよね!
日本酒の甘辛度はこれらの日本酒度と酸度によって決まります。
物理的に甘口と辛口を見分ける方法
日本酒の甘口と辛口は自宅でも簡単に判別できます。
日本酒度だけですけどね。
日本酒度は日本酒の比重によって決まります。
比重とは密度とも言われることもありますが、単位体積あたりの重量のことです。
日本酒の比重は、含まれるアルコールと糖の量によって決まります。
砂糖を溶かした水、すなわち砂糖水は水よりも比重が大きく(重く)なります。
一方、アルコールを溶かした水は比重が小さく(軽く)なります。
その為、アルコール量が大きい(糖が少ない)日本酒ほど、比重が小さくなる傾向にあります。
日本酒度とは『水に比べてどれだけ比重が大きい(小さい)かの指標』です。
では、どうやって自宅で日本酒度を評価するのかというと・・・
透明なコップに水を入れ、そこに日本酒を少しだけ垂らします。
そうすると日本酒と水は混ざりますが、よく見ると・・・
垂らした日本酒が水と混ざる様子が、もあっとした「ゆらぎ」で見えます。
このゆらぎがコップの底の方まで落ちて、拡散する(水と混ざる)場合、「日本酒の比重が大きい=糖が多い」ということです。
反対に、液面に向かってゆらぎが広がる場合、「日本酒の比重が小さい=アルコールが多い」ということになります。
この方法はあくまで酸度を無視した判別方法です。
かつ「ラベルを見た方が早い!」と言いたくなる方法ですが、覚えておくと、ちょっと面白いですよね。
まとめ
日本酒の甘い辛いというのは、個人の感じ方によっても変わってしまいます。
人の味覚は十人十色ですからね。
私は甘口も辛口も、シチュエーションによって楽しめば良いのでは、と思いますよ。