スーパーはおろかコンビニでも、ある程度のランクの日本酒が並ぶご時世。
酒屋さんに行けばよりどりみどり。
初めて見る銘柄も多いですよね。
「買ってみようかな?」と思ってみても・・・
- 一体どんな味なのか
- 値段が高ければ美味しいのか
考えてしまいますよね。
そこである程度指針になるのが、ラベルと裏表記なんです。
裏表記は専門用語もあって、一見難しそうですよね。
でも、知っていると、お得な情報が隠れていたりします。
一定の条件を満たしたものが名乗れる「特定名称」
まずは一番わかりやすい特定名称からご紹介しましょう。
日本酒の顔ともいうべきラベルに、銘柄とともに載っています。
お酒に詳しくない人でも「大吟醸」の名称は聴いたことがあるのではないでしょうか。
この「大吟醸」がいわゆる「特定名称」に当たります。
日本酒のシェアの中で、そういった特定名称がついているものは、たったの【3割程度】と言われています。
残りの7割は、いわゆる普通酒と言われるもので、一定の条件を満たしていないお酒です。
さらに言うなら「普通酒だから美味しくない」というわけでもないんです。
ツウな人からすれば「平凡な純米酒よりも、個性的な普通酒のほうが良い」という意見もあるでしょう。
日本酒(清酒)には「品質を保つための基準」が設けられています。
原料は米、米麹、酒造アルコール、そこに仕込み水も加わります。
それ以外に、糖類、酸味料、アミノ酸塩などが含まれていると特定名称を名乗れません。
さらにアルコール添加量や、米麹の割合も条件に含まれています。
これらの条件をクリアできたものだけが、特定名称と分類されるのです。
ちなみに近年では、基準を満たしていても、あえて特定名称を名乗らないお酒も出て来ています。
コストをかければ良いというものでもないですし、手間をかけて作りながらも、特定名称が持つ「安易なランクやイメージ」を押し出したくないのでしょう。
逆に言えば特定名称は、それだけの影響力やわかりやすさを持っています。
特定名称の種類
特定名称は6種類あります。
- 純米(特別も含む)
- 本醸造酒(特別も含む)
- 吟醸酒
- 純米吟醸酒
- 大吟醸酒
- 純米大吟醸酒
「特別ってなんだ?」と思いますよね。
「精米歩合(せいまいぶあい)60%以下、または特別な醸造方法で造った酒」と定義されています。
※精米歩合については詳しく後述します。
「精米歩合は吟醸クラス、ただ醸造方法が違う」とか「精米はともかく、醸造方法なら吟醸酒と同じ」だと「特別」がつきます。
そして『純米→本醸造→吟醸→大吟醸』の順でグレードも値段も高くなっていきます。
純米を表しているのは「酒造アルコール」の添加の有無です。
吟醸で、かつ酒造アルコールの添加も無いなら「純米吟醸」になります。
また吟醸以上のクラスでは「吟醸造り」とも呼ばれる醸造方法を採ります。
吟醸には「吟」味した原料を用いた念入りな「醸」造の意味があります。
この「吟醸造り」とは、ざっくり言うと、精米歩合が60%以下の原料を使い「低温で発酵させた良質なもの」です。
酒造アルコールの補足
酒造アルコールと言うと、いかにも添加物っぽい響きですが、悪いものではありません。
サトウキビなどを原料とした蒸留酒で、純度が高く無味無臭です。
また添加するといっても若干です。
添加することで、口当たりがさらっとしたり、香りが良くなる効果があります。
若干添加されている名称の種類
酒造アルコールの添加の有無で、6名称を分けることもできます。
- 本醸造酒
- 吟醸酒
- 大吟醸
添加されていない名称の種類
- 純米酒
- 純米吟醸酒
- 純米大吟醸
酒造アルコールも添加しないので「純米」です。
精米歩合によって変わるグレードと味わい
収穫したお米は玄米の状態で、外側を削ることで「白米」になります。
『削る=精米』ということです。
スーパーでパッケージングされているのは精米済のものです。
酒米(酒造好適米)は食用のお米よりもサイズが大きめであるのが一般的です。
それは精米の度合いが食用とは別次元であるから、とも言えます。
精米ありきなのが日本酒(清酒)なんです。
お米は外側に栄養素が詰まっています。
「じゃ、栄養も一緒にお酒にしてしまった方が良いのでは?」
こう思うかもしれません。
しかし、玄米を食べてみたことがある方なら分かるかもしれませんが、非常に雑味があるんですよね。
栄養価としては優れていますが、お酒にするとしたら、邪魔な風味が入ってしまうのです。
この雑味を取り除き、芯に近づくにつれ、より澄んだものとなるんですね。
味わいも香りも変わっていきます。
「玄米を100%とし、そこから削って残ったもの=精米歩合」
こう考えるとわかりやすいでしょう。
精米歩合が60%の場合、外側を40%削って、残った内側の60%が原材料として使用されます。
ちなみに普通に食べるお米の精米は大体90%です。
贅沢ですよね!
その贅沢さが、グレードと関係し、値段と直結してしまうのも頷けます。
※削られた部分は皆様ご存知の「米ぬか」と形を変えて利用されます。
ちなみにこだわりを持つ酒造会社は、精米も丁寧に、驚くほど時間をかけて行っています。
そのため、削るのではなく「磨く」と表現されることも多いです。
そこも酒造メーカーのこだわりの部分とも言えます。
精米歩合は基準のひとつです。
低いから美味しい、高いから不味いというわけでもないんです。
精米歩合が低いと、香りが華やかだったりフルーティなものに変わります。
飲み口も軽くなっていくのが特徴です。
精米歩合が高いとお米本来の香りに近づき、濃い味や重い感じが出て来ます。
軽すぎるな、と思ったら精米歩合が高めなものを試すと好みに近づくかもしれませんね。
精米歩合の度合いで特定名称を並べると
- 純米酒:規定無し
- 本醸造酒:70%以下
- 吟醸酒/純米吟醸酒:60%以下
- 大吟醸酒/純米大吟醸:50%以下
特定名称はすべて、上記の精米歩合のもと、米麹を15%以上使用しているのが前提です。
また先に挙げた酒造アルコールの有無で、純米の冠がつくかつかないかになります。
大吟醸に至っては精米歩合50%以下が条件です。
ポイントは「~以下」というところ。
近年話題の「獺祭(だっさい)」には磨き三割九分や、二割三分というものがあります。
つまり精米歩合39%、23%です。
驚きですよね!
原材料のお米「メジャーどころ」を知ってわかる味
酒米にこだわる酒造会社は多いです。
メジャーな酒米をおさえておきましょう。
香味やコクを出す酒米
「山田錦(やまだにしき)」
今や酒米の中で一番有名かも知れません。
生産量も一位で、そのほとんどを兵庫で生産しています。
香りの良さとまろやかさが特徴で、かの有名な「獺祭」も山田錦を使用しています。
「雄町(おまち)」
最古参の酒米ですが、栽培が難しいために、一時絶滅が危惧された種類です。
生産地の代表である岡山県の酒造メーカーを中心に復活を果たしました。
芳醇な香りと確かなコクで仕上がりが特徴です。
淡麗派の酒米
「五百万石(ごひゃくまんごく)」
米どころ、新潟が誇る品種です。
有名度は山田錦と肩を並べ「久保田」シリーズにも使用されています。
スッキリとした飲み口に仕上がり、酒造されたお酒は「淡麗」と謳われることが多い酒米です。
「美山錦(みやまにしき)」
スッキリさはあるが、それほど辛口でもない事が特徴です。
長野県が生産地としては有名ですが、東北でも広く栽培されており、突然変異によって生まれたという背景も。
香りは控えめでお米本来の味が残るとされています。
「出羽燦々(でわさんさん)」
山形で生産されている酒米で、吟醸と相性が良いとされている品種になります。
そこから作られるお酒は切れ味の良さが特徴です。
さらりとした口当たりで、キリっとした飲み口に仕上がりですね。
甘口/辛口、飲みごたえもわかる表記
任意記載事項には「日本酒度」が設けられることがあります。
辛口/甘口の目安となる表記です。
この指標については、また一つクセがあります。
カレーなどで言う単なる「甘口/辛口」とは違うのです。
詳しくはこちらの記事をご参照ください。
製造年月と保存方法でわかる特性
製造年月は蔵本が瓶詰めした年と月です。
任意事項では貯蔵年も表記されることがあります。
瓶詰めから間もなければ、若々しい味わいが楽しめます。
絞りたての売り文句がつくと、鮮度に重視を置いているふうに読み取れます。
期間限定品は「旬」さを打ち出しています。
日本酒は時間の経過とともに味わいにまろみを帯びますが、同時に劣化する面もあるんです。
ですが貯蔵方法が良ければ、ツウ好み向けとして、寝かせたものを瓶詰めするお酒も中にはあります。
『熟成』というキャッチフレーズがついたものですね。
清酒には消費期限が設けられていません。
瓶詰めから1年程度まで美味しく飲めると言われています。
保存方法についてのポイントは「要冷蔵」が記載されているかどうかです。
「要冷蔵」がつくものは「生酒」のものが多いです。
別途「生酒」と明記されていたりもします。
一般的なお酒は火入れ(加熱処理)を行っています。
流通の発達とともに、火入れをしない生酒も多くなってきました。
生酒の特徴はフレッシュであり、軽やかなところですね。
まとめ
日本酒の種類・・・
奥深き世界です。
少しずつでも覚えて、買う時の参考や話のネタに出来ると良いですね!