スーパーで売られている安い明太子は、正直あまり美味しくありませんよね。
ネットリとしていて生臭いし、苦みもあります。
見た目はプリっとしていて、色も鮮やかで美味しそうなのに、なぜなんでしょうか。
実はそれ、材料に「ガム子」を使っているからなんです。
ガム子というのは、未熟なスケソウダラの卵のこと。
明太子は、卵の成熟度によって味がかなり変わってしまうのです。
「明太子は生臭いから嫌い」と思っている方。
ガム子の明太子を食べてしまっていませんか?
一番美味しい状態の真子で作られた明太子を食べたら、その評価が変わるかもしれませんよ。
今回は、卵の成熟度によって変化する名前と、味の違いについて詳しく解説します。
明太子の美味しさに差が出る卵の成熟度を解説
スケソウダラの漁が行われているのは、12月から3月。
オホーツク海やベーリング海など極寒の海に、たくさんのスケソウダラが産卵のため集まります。
この時期のメスのお腹の中では、3月後半の産卵に向けて卵が徐々に成熟し、その度合いによって呼び名がこのように変化します。
呼び名の違い
- ガム子
- 真子
- 目付
- 水子
- 皮子
出世魚のようなものですね。
それぞれの特徴について詳しく解説します。
1.ガム子|未熟な卵
卵が入っている袋の皮が厚く、表面がボコボコしている状態。
中の卵はまだ未熟で、明太子にするとネットリした食感になり、苦みもあります。
12月から2月初めに獲れるスケソウダラに多くみられます。
2.真子|明太子に最適な成熟度
皮が薄く柔らかくなって、表面はプリっとしたハリのある状態。
卵は成熟して、うま味が一番濃くなっています。
2月に獲れるスケソウダラに多く、真子が一番明太子に適した卵です。
3.目付|目のような点が現れる
真子よりも成熟度がさらに進んで、産卵間近の卵。
水分が増えて、卵の1粒1粒にポツポツとした点が現れます。
それが目のように見えることが、目付という名前の由来。
2月後半から3月に獲れるスケソウダラに多く、目付の卵も明太子には適しています。
4.水子|産卵がはじまった卵
一部産卵が始まってしまった卵。
スケソウダラは、1ヵ月ほどの間、数回に分けて産卵します。
そのため、産卵途中の卵が獲れる場合があります。
水子は、水分が増えてうま味が減り、明太子に加工すると弾力がなくネットリした食感です。
3月以降に獲れるスケソウダラに多く、振りかけや、パスタの素などに加工されています。
5.皮子|産卵が終わった卵
産卵が終わってしまった卵。
まれに完全に産卵せず、一部残っていることがありますが、ほとんどが皮だけの状態。
明太子にすることはできません。
真子が一番美味しい状態でガム子は苦い
卵の成熟度によって、味が大きく変わります。
ガム子から水子まで、味がどのように変化するのか調べた論文からデータを抽出し、一覧表にしました。
卵の成熟度 | 水分量 | タンパク質 | 脂質 |
ガム子 | 76.3% | 20.1% | 1.7% |
真子 | 69.0% | 23.9% | 4.5% |
目付 | 71.1% | 23.7% | 3.2% |
水子 | 74.0% | 22.5% | 2.0% |
参考:たらこ原料卵巣の成熟度が製品の味に及ぼす影響 |日本食品保蔵学会誌VOL35
真子の水分量が一番少なく、かわりにタンパク質、脂質は増えていますね。
タンパク質、脂質は、卵のうま味に関わる成分です。
水分が抜け、味が濃縮して濃くなるので、真子が一番美味しい状態になります。
また同じ論文で、味覚センサーによる比較をしています。
これによると、真子に比べてガム子は、200倍近くの濃度で苦みやえぐみが強く出ていることがわかりました。
生で食することの多い明太子は、苦み、えぐみをごまかすことができずダイレクトに感じてしまいます。
だから、ガム子で作られた安い明太子はまずいんです。
ガム子でも添加物で美味しそうに見せることができるので注意が必要
スーパーで安く販売されていたり、訳あり商品として売られているものは、ガム子で作られていることがあります。
食べるとネットリしていて、苦みや生臭さがあるのでまずいです。
だけど、見た目はプリっとして美味しそうに見えるものもありますよね。
添加物を加えることで、見た目がまるで真子のようにハリを持たせることができるんです。
真子を使ったおいしい明太子を買うなら
どうしても値段が高くなってはしまうのですが…
スーパーで売っている適当な明太子を選ぶのではなく、ちゃんとしたメーカーで買うことをおすすめしますよ。
いちいち福岡まで買いに行かなくとも、お取り寄せで食べることができます。
参考にしてみてください。
\スーパーで満足していませんか/
※本物は一味違う
まとめ
スーパーの安い明太子がなぜまずいのか。
その理由は、材料の卵にまだ未熟なガム子を使っているからです。
今回は、卵の成熟度による名前と味の違いについて解説しました。
ちなみに、乾燥させて細かく粉砕したら、えぐみや生臭さは感じません。
なので、明太子に加工しなかったガム子や水子は、ふりかけやパスタの素に加工されています。
本場の明太子は一番美味しい状態の真子を厳選して作られています。
だから生臭さや苦みはまったくなくて、本当に美味しいですよ。