妊娠中、生ものは避けるように言われていますよね。
厚生労働省による食生活の指針でも、生ものは注意が必要と書かれています。
その理由の一つは、生ものを食べると食中毒の危険があるから。
健康な人にとっては問題ないものでも、妊娠中だと症状が酷くなったり、お腹の赤ちゃんに影響が出たりする場合があります。
それでは明太子は、大丈夫なんでしょうか?
ご飯にのせたり、そのまま食べたり、明太子は火を通さず生のまま食べることが多い食材。
妊娠中に明太子を食べても問題ないのか心配です。
妊婦さんが明太子を食べることで考えられる危険性と、安全に食べる方法について詳しくまとめてみました。
妊娠中に妊婦さんが明太子を食べても大丈夫なの?
明太子も生ものですから、食中毒の可能性はゼロではありません。
それに、明太子を食べ過ぎてしまうことによる危険性も心配です。
妊娠中の妊婦さんが、明太子を食べたときに考えられる危険は以下のものがあります。
注意ポイント
- 食中毒を起こす危険
- 食べ過ぎによる危険
それぞれ詳しく解説します。
1.明太子で食中毒を起こす危険性
品質管理の悪い明太子を食べた時に、食中毒を起こす危険性がある菌や寄生虫をまとめました。
リステリア菌|胎児に影響がでる可能性も
リステリア菌による食中毒は、日本でも年間40~50件発生しています。
健康な人ならば、リステリア菌が胃酸に弱いため症状が出ることはほとんどありません。
しかし、妊婦(胎児)、新生児、基礎疾患のある人は、敗血症、髄膜炎など重症化するおそれがあります。
特に妊婦さんは、早産や流産など、胎児に影響が出る可能性があるため注意が必要です。
厚生労働省からも食生活の指針として注意を促しています。
リステリア菌は、4℃以下、10%の塩分濃度でも生存できる菌です。
明太子の塩分濃度は5%程度ですから、もしリステリア菌がついていたら冷蔵庫の中でも増殖してしまいます。
リステリア菌の食中毒を防ぐ方法は以下の通りです。
ポイント
- 加熱してから食べる
- 保存は冷凍
70度以上に加熱した場合、リステリア菌は死滅し、食べても問題ありません。
また、マイナス18度の環境であれば、リステリア菌は増殖できません。
けれど死滅するわけではないので、再び4度前後になると、ゆっくりと増殖し始めます。
なるだけ冷凍庫で保存しておく方が良いでしょう。
妊婦さんが明太子を食べる時には、しっかり火を通すか、冷凍庫で保存し食べる分だけ解凍するほうが安全ですね。
アニサキス|激しい腹痛や下痢を起こす寄生虫
サバにいる寄生虫として知られていますが、明太子の原料であるスケソウダラにも寄生していることがあります。
人の体内では成長しませんが、胃壁などに穴をあけて、酷い腹痛や下痢を起こします。
もしアニサキス症になってしまったら、胃カメラを使ってアニサキスを物理的に取り除かなければいけません。
口や鼻からカメラのついた管を通すので、麻酔をせずに胃カメラをするのは大変ですよね。
アニサキスで胎児に影響が出るという報告はありませんが、妊婦さんは麻酔ができないので、気を付けないといけません。
アニサキスによる食中毒を予防する方法は、以下の通り。
ポイント
- マイナス20度以下で冷凍する
- 70度以上で加熱する
- 目視でアニサキスを取り除く
- 新鮮な食材を選ぶ
リステリア菌と違って、マイナス20度以下になるとアニサキスは死滅します。
食べても問題ありませんが、見た目が気になるので、明太子メーカーでは一つ一つ確認して取り除いています。
また鮮度のいい卵にはアニサキスはついていませんから、品質管理を徹底しているメーカーの明太子を選ぶことが大事ですね。
明太子の老舗、島本では、特に素材の鮮度にこだわっています。
ポイント
- 獲れたてのスケソウダラからすぐに採卵
- 30時間以内に調味液に漬け込む
- マイナス35度に急速冷凍
島本の明太子は、水揚げ後すぐに採卵しています。
魚の内臓にいるアニサキスが、卵へ移動する前に卵を取り出すので、アニサキスはついていません。
その後マイナス35度で冷凍しているので、万が一アニサキスがいても死滅してしまっているので安全です。
目視でもしっかり確認して、異物を取り除いているそうなので、安心して食べることができますね。
明太子を食べ過ぎてしまうことによる危険性
明太子メーカーによると、明太子の1日量の目安は20g。
だいたい親指1本分の大きさです。
明太子好きには、なんとも心もとない量ですが、特に妊婦さんが食べすぎると危険なんです。
妊娠高血圧症候群|塩分の摂り過ぎが原因
妊娠中に心配なのは、妊娠高血圧。
20人に1人の割合で発症すると言われています。
血圧は、最高血圧が135mmHg未満、最低血圧が85mmHg未満が正常で、妊娠中にある一定の基準値を超えると妊娠高血圧症候群と診断されます。
収縮期血圧が140mmHg以上(重症では160mmHg以上)、あるいは拡張期血圧が90mmHg以上(重症では110mmHg以上)になった場合、高血圧が発症したといいます。
妊娠高血圧症候群の原因は、塩分の摂りすぎが原因の1つと言われています。
厚生労働省の指針によると、18歳以上の女性の塩分摂取量は1日7g以下。
一般的な明太子には、100gあたり5.6gの塩分が含まれています。
肉や魚など、他の料理の塩分量も考えると、明太子だけをあまり食べすぎると心配ですね。
明太子発祥の店ふくやでは、減塩タイプの明太子があります。
100gあたり3.3gで、ナトリウムの排出を促すカリウムが入っているのが特徴。
なんと、日本高血圧学会減塩委員会の減塩食品リストに掲載されているほど、塩分が抑えられた商品です。
減塩タイプなら、ちょっと安心でしょうか。
とは言っても、塩分控えめでも食べ過ぎたら元も子もありませんので、適量を守ることが大事です。
妊娠糖尿病|ご飯の食べすぎ注意
それまで糖尿病と診断されたことがなく、妊娠中に初めて糖代謝異常が指摘された場合に、妊娠糖尿病と診断されます。
妊娠中に血糖値が高くなると、赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になったり、心臓が肥大したりすることがあり危険です。
妊娠糖尿病は、明太子の食べすぎというよりは、一緒に食べる糖質の食べすぎが原因です。
明太子を食べると、どうしてもご飯を食べたくなっちゃいますよね。
糖質ばかり食べすぎないよう、野菜や、肉、魚などバランスよく食べることが大事です。
まとめ
妊娠中に妊婦さんが明太子を食べると危険なのかについてまとめました。
主に、食中毒による危険と、食べ過ぎによる危険があります。
薬を飲めない妊婦さんは、妊娠中生ものを避けたほうが無難です。
明太子も生ものですから、危険がないわけではありません。
でも、明太子は、DHAやEPA、ビタミンなど栄養豊富でしかも美味しい!
ポイント
- 加熱する
- 冷凍保存して食べる分だけ解凍する
- 信頼できる品質のものを選ぶ
といった工夫をしながら、適量を食べるのが良いでしょうね。